二十七、「シャーラカ(沙洛迦)での出来事 二」

このシャーラカの寺にはストゥーパ(塔)があり、塔上の法輪が壊れてしまっていたのでした。
そこで、寺僧は大神王像(だいしんのうぞう)の足下に埋蔵してあるという宝をとって、修理したいと考えていましたが、大地が振動することを恐れて敢えて近づくこともしなかったのです。
三蔵法師がシャーラカ寺に来ると、僧たちはみんな集まって、これまでの経緯を話し、三蔵法師に協力してもらうように頼んだのでした。
そこで三蔵法師は大神王のところへ行き、香を焚いて次のように述べたのでした。

「質子よ、貴方(あなた)がむかし埋蔵したのは、功徳(くどく)を営むためでした。いま宝を開くのは、まことにその時がきたからであります。願わくば質子よ、われわれの真実の心を認め、少しく威厳の徳を収めてください。もしお許しいただけるなら、私は自ら発掘に立ち会い、斤数(きんすう)を調べて所子(役人)にひきわたし、仏法に従って修造して無駄使いはさせません。どうか、質子の霊よ、このことをお察しください」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

三蔵法師がそう言い終わって人びとに命じて掘らせたが、静かで何の障害もなかったのでした。
深さ、七、八尺に達したところで一つの大きな銅器が出てきたのでした。
中からは黄金数百斤と明珠(めいしゅ)数十個が出てきて、人びとは大いに喜んだのでありました。
そこで、三蔵法師はここで夏坐(げざ)したのでした。

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