三十一、「更に南進す」

先のストゥーパから西南十余里にもストゥーパがあり、ここは仏陀が花を買ったところだということです。
そこから東南の砂嶺(されい)を越え、十余里で仏頂骨(ぶっちょうこつ)城(ジャララバード南方八キロのハッダ)に至ったのでした。
この城中に二階建ての建物があって、その二回には七宝の小さな塔があり、その中に如来の頂骨が収まっているということでした。
骨の周りは一尺二寸あり、髪孔(かみあな)ははっきりとしていて、色は黄白色で函に入っていたのでした。

ここで占いをしたいという人は香の粉末を練って泥のようにし、絹布にそれを塗って頂骨の上を蔽い、其処に表れた図像で吉兆を占うということでした。
三蔵法師はその占いをしてみると、菩提樹の臓が現われ、年少の者は蓮華の像が現われたのでした。
その骨を守っていたバラモン(ヒンズー教徒)は喜んで、三蔵法師に指を鳴らしながら花を散じて、

「師の得た占いははなはだ希有なものです。この図はあなたの菩提(正覚(しょうがく))の分別を示しています」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉
と言ったのでした。

ここには仏陀の多くの遺品があり、荷葉(はすのは)のような骨を収めた髑髏骨塔、大きさは奈(からなし)ぐらいで、光り輝いて、箱の外まで映じている仏の眼睛、滋養等の細氈(さいせん)で作られた仏の袈裟(僧伽●「かなえ、てい」胝(そうぎゃち))、白鉄を環として栴檀の(せんだん)を茎にした仏の錫杖(しゃくじよう)などがありました。

このページの先頭へ