四十五、「僧称法師」

そして、王は、また、三蔵法師が遠くからやっては来たことを聞き、しかも、読みたい本がないかを聞いて、到頭、王は書手(しょしゅ)二十人を三蔵法師に支給させて、経論を写させ、更に別に五人の随員(ずいいん)を提供したのでした。
その上に、三蔵法師が必要な経費は全て公給させたのでした。

この国の僧称法師は、高徳の人でした。
戒を守ること純潔で思慮も深く、また、博学で、才智煥発であったのでした。
その上に彼は賢人を愛し、士を重んじていたのでした。

三蔵法師が既に王宮のお客だったので、僧称法師は三蔵法師に特に目をかけて長時間引見したのでした。
三蔵法師もまた、僧称法師の言葉に耳を傾けて質問をし、それは日夜尽きることがありませんでした。

そして、三蔵法師は僧称法師に議論を講義して欲しいと請うたのでした。
僧称法師はこの時既に齢七十になんなんとしていて、気力がもはや衰えていたのでした。

しかし、僧称法師は三蔵法師のような俊才に会えたことを大いに喜び、老骨に鞭打つように力を励まし、講義をすることになったのでした。
午前中には、『倶舎論(くしゃろん)』、午後には『順正理論(じゅんじょうりろん)』を、夕方には、『因明(いんみょう)』と『声明論(しょうみょうろん)』を講じたのでした。

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