二十七、「摩掲陀(マガダ)国 八」

ブッダバドラは正法蔵の甥で年は七十余歳、ひろく教論に通じていたのでした。また、談話も巧みな人なのでした。

法蔵が、

「そなたが人びとのために、私の三年前までの病気の因縁について話してあげなさい」

というと、ブッダバドラは涙をぬぐいながら、以下のように説明したのでした。

正法蔵はもと風痛(リューマチス)を患(わず)われ、発作(ほっさ)の度に手足が痛んで火に焼かれたり刀(かたな)に刺されるかのようでありました。
急に発病したかと思うとたちまち治り、そんな状態が二十余年も続いたのです。
もっともひどかったのが三年前のことで、苦痛ははなだしく、御自身の体を厭(いと)われて断食して自殺しようとされました。
ところがある夜、夢に三人の天人が現れました。
その一人は黄金色、二人目は瑠璃色、三人目は白銀色で、風采(ふうさい)うるわしく、その服は軽やかで、輝いていました。
三人は正法蔵に近づいてくると、

「そなたはみずから身を捨てようとしているのか。経典には身に苦があることを説いているが、身を捨てることは説いていない。そなたは過去にかつて国王となり、多くの国民を悩ませたので、いまその報(むく)いを受けているのである。いまこそよろしく過去の罪業(ざいごう)を反省して、至誠(しせい)をつくして懺悔(ざんげ)すべきときである。苦しいときは安んじて忍(しの)び、つとめて経論をひろめ、みずから罪業(ざいごう)を消すべきである。いまただ身を厭(いと)うて死んでも、苦は永劫に尽きないであろう」

といった。

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