三十五、「ナーランダー寺 六」

姑栗陀羅矩●「口篇に宅のう冠を取ったもの」(グリドウラクータ)山はいくつもの丘を連なり、北嶺は特に高く聳えているのでした。
その形が鷲のようでもあり、また、高台にも似ているのでこの名がついているのでした。
泉石は清く樹林は鬱蒼(うっそう)としていたのです。
如来は御在世のとき、大部分をこの山で過ごし、『法華(ほっけ)』『大般若(だいはんにゃ)』など多数の御教えを説かれた所なのでした。

山城の北門から一里余りで迦蘭陀(カーランダ)竹園に至るのでした。
いま現に煉瓦造りの部屋があり、ここは昔、如来がもろもろの戒律を作られた所なのでした。
園主はカーランダという人でした。
彼は初めこの竹園をもろもろの外道に施したのでしたが、のちに釈尊に会ってその深い教えを聞いて、この園を如来に施すことができなかったことを悔んだのでした。
ところが、地神がカーランダの意中を知り、災(わざわ)いや怪奇を現わして外道たちを追い出して、

「カーランダ長者はこの竹園を釈尊に施そうとしている。汝(なんじ)らは速(すみ)やかにさるべきである」

といったので、外道たちは怒って園を出てしまった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

これを見た長者は大喜びをしたのでした。

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