六、「賊にあう 五」

賊たちはそれに続けてこういったのでした。

「いままでは妄想(もうそう)に迷わされて、やってはいけないことをし、事(つか)えるべきでないものに事えていました。もし、師の福徳が冥祇(めいぎ)(目に見えない神々)を感動させるのに会わなければ、どうして啓(みちび)き誨(おし)えを聞いたでしょう。今日からはけっして盗賊(とうぞく)はいたしません。どうか師が証明なさってください」〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

そして三蔵法師と賊たちは互いに話し合い、賊は武器の類を全て河に投げ捨て、奪った衣服や金子(きんす)はそれぞれの持ち主に返し、賊はその後、三蔵法師から五戒を受けたのでした。
するとどうしたわけか、風波も静かになったのでした。
賊たちはみな喜んで三蔵法師を拝して別れていったのでした。
このさまを見ていた同行者たちは三蔵法師を非常に敬服し、また、この話を伝え聞いた人びとも、その真相を訝しく思わないものはいなかったのでした。

三蔵法師のように熱烈に法を求める人でなければ、どうしてこのような奇跡が起こりえようか。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

三蔵法師はさらにここから東行すること三百余里、ガンガー河を渡って阿耶穆?(アーヤムカ)国に至ったのでした。

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