二十一、「シンハラ国に伝わる話 四」

その男の子はついに研ぎ澄ました刀でライオンの喉を裂いて、腹を掻き切ったのでした。
こんな苦しみを与えても当のライオンは、まだ、慈悲の心が深く、苦痛をこらえて、その場を動かずについには息絶えたのでした。

王はこのことを聞いて大いに喜び、そして怪しんで、その男の子に尋ねのでした。

「どうしてラいオンは、そんなにおとなしかったのか」

彼は最初は本当のことを話さなかったが、いろいろと問いつめられ、とうとう真実をつぶさに語った。

そこで王は、

「ああ、汝(なんじ)のような畜種(ちくしゅ)でなければ、どうしてそんな心を持とうか。しかし私はすでに賞を贈(おく)ると宣言したので、それに違(たが)うわけにはゆかぬ。しかしそなたは父を殺したのである。人倫(じんりん)の道に背(そむ)いた者は、わが国においておくことはできぬ」

といった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

そして、官吏に命じて多くの金宝を与えて、彼らを国外へと追放したのでした。
すなわち舟を二艘(そう)ととのえて、多くの黄金や食料を積み込ませて、洋上はるかに見送って海流によって漂流するがままにさせたのでした。

男の子の舟は漂流してこの宝の島につき、珍宝が多いのをみて、ここに留まったのでした。

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