二十四、「シンハラ国の別の挿話 二」

そこでその賊は、

「如来はむかし菩薩道を修め、もろもろの衆生(しゅじょう)のために身命(しんめい)を惜しまず、国城も惜しみなく人に与えたという。ところが今日になるとなんと堅固(けんご)さか。どうもこの有様をみると、おそらく前世のことは事実ではなかったのであろう」

といった。

すると像は身を曲げて賊に珠を与えた。
その男はとうとうこの珠を持ち出し、市場にもっていって人に売ろうとした。

ところが、この珠を知っている人があり、その男を捕(と)らえて王のもとに送った。王がその珠を得た所を尋ねると賊は、

「仏がみずから私に与えたのです」

といって、一部始終(いちぶしじゅう)を物語った。
そこで王がみずからその場へ行ってみると、なるほど像の首はまだ低く下がっている。
王はこの霊験をみてさらに信心を発し、もろもろの珍宝(ちんぽう)で賊からその宝珠(ほうしゅ)を買いとり、像の髻(もどり)にかえしたという。
ちなみにそれは今も現存している。

シンハラ国の東南隅に●「馬偏に菱」迦(ランカー)山があって、そこには鬼神が多く住んでいるのでした。
昔、如来はこの山で『●「馬偏に菱」迦経(らんかきょう)』をとかれたのでした。
この国の南方洋上数千里に、ナーリケーラ洲(那羅稽羅)があるのでした。
其処の人は背が低く高さ、三尺余りだということでした。
体は人間でしたが、口は鳥の嘴(くちばし)のようで、農耕は営まずに椰子を食べているとのことでした。

この国は洋上遥かにあり、三蔵法師は行くことができなかったのでした。
人びとの話のあらましは以上の通りなのでした。

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