三、「ジャングルに纏わる話 二」

その陽光溢れる場所はとてもこの世とは思われるようなところなのでした。
かの牛はそこで草を喰(は)んでいたのでした。
草は色香も美しく、これもまたこの世のものとは思われないのでした。
牛飼いが辺りの果樹を見るとみな金のような黄赤色の香(かぐわ)しく大きな実がなっているのでした。

牛飼いはその実の一つをもぎ取ったのでした。
彼はその実を無性に食べたかったのでしたが、余りにも不思議なことに恐れをなして敢えて食べることはしなかったのでした。
しばらくする投資が帰りだしたので牛飼いもその後を追って帰りかけたのでした。
ところが岩石の孔に近づくと、一匹の悪鬼いて、その果物を奪い取ってしまったのでした。

ムラな返って牛飼いは、ある名医にその話をして、果物の有様を話したのでした。

するとその医者は、

「それは食べてはいけない。何とかしてそれを一つ持って出てきなさい」といった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

そこで牛飼いは次の日、また一緒に牛とともにその孔に入り、帰途一つの実を取って懐(ふところ)に入れて帰ろうとしたのでした。
するとまた悪鬼が現れて、その実を取り返そうとしたのでした。
慌てた彼は、果物を口の中に入れたが、悪鬼は喉(のど)を掴んで放さなかったのでした。

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