三十九、「ボードガヤの菩提寺の仏舎利の神変」

すると三蔵法師も、

「いや、じつは私も果たして本当の舎利かどうか、疑わしいと思っていました」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

と答えたのでした。

するとしばらくしてから室内には灯火がないのに、部屋の内外が非常に明るくなったのでした。

怪しんで外に出てみると舎利塔の中から空高く光が発光し、飛焔(ひえん)天に沖して五彩に輝いていたのでした。
そして、辺りは馥郁たる香気が満ち満ちていたのでした。

そこで二人は人びとに、

「舎利に大神変(しんぺん)が起こった」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

と告げたので、人びとはまた集まってきて、はるかに舎利を礼拝(らいはい)し、希有(けう)を嘆称したのでした。

その光は未明の食事の時間ごろにようやく収まったのでした。
余光が尽きようとするとするところ、人びとは覆鉢(ふくばち)のまわりを数回廻り、漸く寝所に帰って行ったのでした。

天地は再び闇に包まれ、星が瞬き始めたのでした。
この神異(しんい)みて、人びとはみな疑いを解き、菩提樹その他の聖跡を礼拝したのでした。

三蔵法師はそこに八日間過ごし、再びナーランダー寺に帰ったのでした。
すると戒賢法師は三蔵法師に衆僧のために、『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』『唯識決択論(ゆあしきけったくろん)』の講義をさせたのでした。

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