十七、「王の宣布」

次の日の朝もまた行宮から像を迎えて会場に入り、人びとが参集したのは初日と同じで、このようにして五日が過ぎたのでした。
このとき、小乗や外道の輩(やから)は、三蔵法師がおのおのの宗旨(しゅうし)を破ったのみて恨(うら)みに思い、三蔵法師を亡き者にしようとしたのでした。
王はこの陰謀(はかりごと)を知って、次のような命令を宣布(せんぷ)したのであった。

「邪党の人びとが真を乱すことは、その由来久しく、正しい教を埋め隠し、大衆を誤り惑(まど)わしてきた。聖者がなければどうしてこの偽(いつわ)りを正すことができよう。支那の法師は気宇広大(きうこうだい)で学業修行とともに深淵である。もろもろの邪(じゃ)を伏さんがためにこのインドに遊学し、大法を顕揚して愚迷の人びとを正しているのである。ところが妖妄(ようもう)の輩は、恥(はじ)と悔(く)いを知らず、悪謀(わるだく)みをはかって殺そうとしているという。とうてい許すべからざることである。ただひとりといえども法師に傷を与えた者はただちにその首を斬(き)ろう。罵(ののし)る者はその舌を切ろう。もとよりみずからの論によってその宗旨を救おうとする者はこの限りではない」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

このページの先頭へ