二十、「カルコータ王の斬首」

雪山下王はもともと天性雄猛(ゆうもう)で、威は神のごとくであったので、招かれて座に坐ると、帽子を取ってカルコータ王を叱ったのであった。
カルコータ王はこれを見て大いに驚き、ふるえて地に倒れたのであった。

雪山下王はその首を斬り群臣に向かって、

「私は雪山下王である。汝(なんじ)らは仏法を破壊しているので、私はここへ来て王を罰(ばっ)したのである。すなわち過(あやま)ちは一人であって、汝らすべてに関することではない。他の人びとは安心してよろしい。ただこの王を煽動(せんどう)し、首謀者(しゅぼうしゃ)となって仏教を弾圧した者は、他国へ追放しよう。ほかの者は不問にする」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

と宣言をして、悪者を追放して伽藍を建立(こんりゅう)し、僧徒を招集して布施(ふせ)をして帰っていったのでした。

先にインドに遊んだ僧は、祖国が平定したのを聞いて杖(つえ)をひいて帰ろうとしたのでした。
しかし、路上に群象が咆哮(ほうこう)しながらやってきたので、彼は樹に上って避けようとしたのでした。
象は水を吸って樹に注ぎ、牙で樹を掘り起こして、たちまちのうちに樹を掘り起こしてしまったのでした。
象は鼻で僧を巻いて背中に乗せ、そのまま歩き出したのでした。

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