二十一、「象の振舞いと仏牙の顛末」

大きなジャングルに至ると、中に瘡(できもの)を患(わずら)っている病気の象が寝ていたのでした。
象はその相の手を引いてその患部に触(さわ)らせたのでした。
よく見ると竹の刺(とげ)が刺さっていたのでした。
そこでその僧は刺を抜いて血膿(けつのう)をとり、衣を裂いて巻いてやったので、象はやっと落ち着く事ができました。

翌日、もろもろの象は、競って果物を取って来て僧の施したのであった。
僧が食べ終わると、一頭の象が金函(きんかん)をもってきて病象に与え、病象はそれを僧に与えたのでした。
僧がそれを受け取ると、諸象は僧を背に乗せてジャングルの外に送り、また元の場所にきて地上に下ろし、跪拝(きはい)して帰っていったのであった。
僧がその函(はこ)をあけてみると、中から仏牙(ぶつか)が出てきたのであった。
そこで彼はその仏牙を持ち帰って供養(くよう)したのでした。

近頃、ハルシャヴァルダナ王はカシュミーラに仏牙があることを聞いて、親しくやって来て礼拝(らいはい)したいと請うたのでした。
しかし、諸僧は吝嗇(りんしょく)して持ち出すことを許さず、他の所へ隠してしまったのでした。
しかし、カシュミーラ王はハルシャヴァルダナ王の威光を恐れて、あちこちと探し求め、ようやく手に入れてハルシャヴァルダナ王にお目にかけることができたのでした。

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