二十六、「無遮大施の終わり」

一切の施しが終わって、王はその妹から粗末な衣服を求めて着、十方の仏に礼をし、歓喜(かんぎ)して合掌(がっしょう)し、

「私はこのごろもろもろの財宝を集め、いつも堅牢(けんろう)な蔵(くら)に入れることができないで恐れておりましたが、いまや民の福田中(ふくでんちゅう)に貯えることができ、蔵に入れることができたといえるでしょう。願わくばいつも財を備えてつねに衆生に施し、十自在(命、心、資具(しぐ)、業(ごう)、神力、法、智などの十の自在)を成じ、二つの荘厳(しょうごん、智慧荘厳と福徳荘厳)を満たさんことを」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

と祈ったのでした。

こうして大会は終わったのでした。
諸王はおのおの諸々の宝銭や宝物をもって民衆のところへ行き、王が施した瓔珞(ようらく)、髻珠(きつじゅ)、御服(ぎょふく)などを購(あがな)い、持ち帰って王に献上したのでした。
かくして数日後には王の衣服や服飾品は、またもとのようにすることができたのでした。

さて、無遮大施(むしゃだいせ)も終わったので、三蔵法師は、いよいよ帰国しようと考えたのでした。

しかし王が、

「弟子(わたくし)はまさに法師とともに、仏教を闡楊(せんよう)したいと思います。どうしてそんなに早く帰ってしまうのですか」

といって引き止め、たちまち十日程が経過したのでした。

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