三十四、「険峻な山」

村で飼っていた羊は驢馬(ろば)ほどの大きさでした。
その日は、その村で宿り、夜中になって出発したのでした。
三蔵法師は、村人のひく駱駝(らくだ)に乗って進んだのでした。
その道は、雪渓(せっけい)や氷河が多く、もし郷人の案内がなかったらなば、到底通れず、互いに落ち込んでしまうようなところなのでした。

翌日の昼ごろ、ようやく、この険峻(険峻)を通り抜ける事が出来たのでした。
その時の一行は、僧七人と雇人(やといにん)ら二十余人、象一頭、騾馬十頭、馬四疋(ひき)であったのでした。

翌日、山の谷間に下り、曲がりくねる道を尋ねてまた一つの山を登ったのでした。
この山は、遠くから眺めると雪山のように見えるのですが、近づいて眺めると白石の山だったのでした。
この山は雪山中最も高く、雲や雪もその頂上には達しない程でした。
その日の夕方、一行は、一行は山頂に到着したのでしたが、寒風凛冽(りんれつ)として吹きまくり、人びとの中でよく立っていられる者とていないのでした。

また、山には草木がなく、ただ石峰のみがごつごつと林のように聳えていたのでした。
そこは山が高く風が烈しく鳥が飛び越えようとも飛ぶことができずに、山の峰南北数百の所で、初めて鳥は翼を広げることができるということでした。

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