四十五、「クスタナ国の伝説 二」

(承前)クスタナ王はこの衣服を見て宿命智を得、深く慚愧(ざんき)の念を生じ、カシュミーラ王と和睦(わぼく)しすることになったのでした。
そこで昔供養した像を迎え、軍とともに国に還ろうとしたのでした。
ところがその仏像はこの城まで来ると止まって動かなくなってしまったのでした。

王は兵士たちと力を合わせて移転しようとしましたが、どうしても動かすことができなかったのでした。
とうとうやむを得ず象の上に精舎を建てて僧侶を招き、王が愛用していた王冠を喜捨(きしゃ)して、仏頭を飾ったのでした。
その冠は今も現存し、貴重な宝石の多い素晴らしい品で、見る人で感嘆せぬものはいないほどでした。
三蔵法師はここに七日間滞在しました。

于●「門構えに眞」(クスタナ)王は三蔵法師がその国境地方に到着したと聞いて、みずからやって来て迎謁(げいえつ)し、やがて道案内を点けてくれたのでした。
王はひとまず都に帰り、小姓(こしょう)を留めて三蔵法師に侍奉(じぶ)させた。東方へ進むこと二日、王はさらに達官を遣(つか)わして三蔵法師を出迎えさせ、一行は都城をさること四十里で一泊しました。

翌日、王は道俗をひきつれ、楽隊と香華(こうげ)をもって道の左側で出迎え、三蔵法師が到着すると導いて都城に入り、小乗薩多部の寺に安置したのでした。

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