四十七、「ヴァイローチャナ 二」

(承前)「王は宿福(しゅくふく)あって位は人主(じんしゅ)となり、法輪を広めくべき人であるのに、まだこの尊い教えを聞かないというのはどうしたわけですか?」

「私は罪障(ざいしょう)多く、いまだに仏の名も聞きませんでした。いま聖人によって徳を降(くだ)され、これは余福というべきではしょう。遺像・遺典ありといわれましたが、どうかみせてください。奉じて修業したいと思います」

「法悦(ほうえつ)を願う者はまず伽藍(がらん)を建てねばなりません。そうすれば、霊像は自然にやってくるでしょう」

そこで王は篭(かご)を都城に帰し、群臣とつまびらかによい土地を選び、大工を呼ばせて羅漢(らかん)の様式を尋ね、この寺を建てたのであった。

こうして寺ができ上ったので、王は、

「伽藍はすでにでき上がりました。仏像はどこにありますか?」

と尋ねると、羅漢は、

「王よ、ただ至誠(しせい)をもってすればまもなく像はやってくるでしょう」

と答えた。 〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

そこで、王は大臣や家来、人民とともに、それぞれ香をたき、花を捧げて、一心に祈っていると、しばしの間に忽焉(こつえん)と天空から仏像が飛来してきて、宝座に降り、光輝いてその容貌(ようぼう)は誠に粛然としたものであったのでした。

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