十一、「西域へ行くための修養、そして三蔵法師の母の夢」

前回の西域への誓いを心に秘めた三蔵法師は、何人かの友とともに求法(ぐほう)のために天竺(インド)に行きたいと上表(じょうひょう)しましたが、国外への旅は出来ない旨の詔(みことのり)が下ったことで、友たちは皆天竺雪をあきらめてしまいましたが、一人三蔵法師のみが諦めることはありませんでした。

暫くするうちに三蔵法師は一人で天竺へ行く決意を密かにして、覚悟を決めたのでした。
そして、西域への旅の艱難辛苦を受けるべく、自分の心を試すために三蔵法師は様々な苦行をしたのでした。
三蔵法師はいかなる公卿も克服し、西域へ行くという決心は一度たりとも揺らぐことがありませんでした。

そしてその後、三蔵法師は初めて仏塔へ入り、生を込めて己の心中を披歴し、聖衆(しょうじゅ)の加護と西域への往還の旅路を妨げるものがない事を祈ったのでした。

むかし三蔵法師が生まれた時、三蔵法師の母は、三蔵法師が白衣を着て、西方へ去ってゆくという夢を見たということです。
そこで母は、
「お前は吾が子だ。いま何処へ行こうとしているのか」
と尋ねると、
「法を求めるために天竺(インド)へ行くのです」
と答えたということです。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

これこそ三蔵法師が天竺へ行くという前兆であったのでした。

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