二十三、「第一烽へ」

三蔵法師は、遠くから見るとはっきりと見え、近づいてみるとたちまち微かになってしまうそれを最初は「賊の衆」かと思いましたが、やはり、しだいに近づいてゆくと消えてしまうので、ようやくにしてそれが「妖鬼(ようき)」(※これは多分、蜃気楼だと思われます)であると合点が行ったのでした。
すると、またもや天から「恐れるな。恐れるな」という声が聞こえたのでした。
三蔵法師はその声を聴くとようやく心が落ち着いてきたのでした。

このようにして八十余里を経て、第一烽が見えたのでした。
三蔵法師は見張りに見つからないように砂漠の窪地に身を隠し、夜が来るのを待ってから、歩き出したのでした。

第一烽の西に水(泉)があったので、其処に下って水を飲み手を洗い終わって皮袋に水を入れようとすると、さっと一本の矢が膝をかすめて飛んできたのでした。
しばらくして、また、矢が飛んできたのでした。
三蔵法師は見張りに発見されたと思い、大声で叫んだのでした。

「私は僧です。京師(みやこ)からきた者です。どうか私を射ないでください」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

そして馬をひいて烽に向かったのでした。
そうすると、烽上の人もまた門を開けたのでした。
会ってまさしく僧であることを知り、そして、烽内にひきいれて校尉(こうい)の王祥(おうしょう)に会わせたのでした。

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