三十三、「高昌でのよしなごと」

しばらくすると、王妃もまた侍女とともに礼拝したのでした。

このころ空はようやく明るくなり、暁を迎え、三蔵法師も話に疲れ果てて眠くなったのでした。
そこで王ははじめて王宮に帰り黄門侍宿(こうもんじしゅく)数人を留まらせて三蔵法師に侍らせたのでした。

翌朝早く、三蔵法師が起きぬうちに、もう王はやってきて、王妃以下を引き連れて礼問したのでした。

王は、
「弟子(わたくし)は蹟路の困難なことを考えると法師がよく一人で来られたのは、本当に珍しいと思います」
と、涙を流し称嘆してやまなかった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

その後に食事の支度が行われ、朝食が終わったのでした。
王宮の傍らには別の道場があり王は自らここに三蔵法師を連れてきて宦官に奉仕させたのでした。

高昌には彖(たん)法師という人がいました。
彼はかつて長安に遊学して法相宗(ほっそうしゅう)に通じ、王に崇敬されていたのでした。
王は彖法師に命じて来させ、三蔵法師玄奘と会わせたのでした。
二人はしばらく会見をしました。

また、年八十歳以上の国統王(こくとうおう)法師に命じて、三蔵法師とともに住まわせ、三蔵法師にこの地に住むように勧めて、西方に行かせないようにしましたが、三蔵法師は決してそれを許さなかったのでした。

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