九、「長安での三蔵法師」

三蔵法師は、道深法師の『成実論』も道岳法師の『倶舎論』も一度で学び尽くし、それは一読して全てを暗記してしまうといった有様で、長年にわたって修養を積んできた老僧も三蔵法師には敵わないのでした。

三蔵法師が研究は極めて深遠と言えるもので、その研究は微細にわたって、また、伏せられて意味までも明らかにするといったものでした。
その様は到底衆僧の及ぶところではなく、三蔵法師が一人、その奥義を悟ったものも一再ではありませんでした。

当時の長安には、法常(ほうじょう)と僧弁(そうべん)という二人の高僧がいて、大小二乗を究め戒学(かいがく)、定学(じょうがく)、慧学(えがく)の三学を研究しつくしていて、帝都の学僧や俗人は、みな二人のもとに集まっていたのでした。

この二高僧の説く道は中国全土で行われていて、その名声は海外にも伝わり、彼らのもとにはひっきりなしに人が集まっては、この二高僧に従うのでした。
彼ら二高僧は諸々の経典に通じていましたが、彼らはひたすらに『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』を講義していました。

三蔵奉仕はこの法典をすでに呉蜀で研究していましたが、長安ではこの二高僧に従って研究したのでした。
しかも、すでに研究していたので一回で研究しつくしたのでした。

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