四十三、「迦湿弥羅(カシュミーラ)国にて その一」

迦湿弥羅(カシュミーラ)国の四基のストゥーパはいずれも高く壮麗で、アショカ王が建てたものであるということで、各々のストゥーパには如来の舎利の一斗余りを蔵しているとのことでした。

三蔵法師ははじめその国に着いたとき石門に至ったのでありました。
その大石門はカシュミーラ国の西門に当たっていたのでした。
王は母の弟を遣わし、馬車を引いて三蔵法師の到着を出迎えていたのでした。

石門に入ってから、三蔵法師は所々の伽藍を巡礼し、三蔵法師はある寺で泊まることになったのでした。
その寺の名は護瑟迦羅(フシュカラ)という名でした。
その夜、寺の僧たちは皆夢に神人を見たのでした。

神人は人びとに、

「この客僧は摩訶脂那(マハーチーナ)国(大シナ国の意)から来た人で、経典をインドに学び、聖跡を巡礼し、まだ知らぬことを学ぼうとしているのである。その人は既に法のためにやってきて、無数の善神のおかげでいま現にここにいる。過去において行なった善根から、いま貴方たちは遠い国の人を慕うところとなったのである。よろしく経典の学習につとめ、他から鑽仰(さんぎょう)されるべきである。どうしてなまけて睡眠(ねむり)にふけっているのか」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

とのお告げがあったのでした。

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