八、「クマーラ王とハルシャヴァルダナ王」 一

そのころ、ハルシャヴァルダナ王は恭御陀(コーンゴーダ)国を討って帰ってきたところなのでした。
ハルシャヴァルダナ王は、三蔵法師がクラーク王の許へ行ったと聞いて驚き、

「私が先に頻(しき)りに請(こ)うたのに来ず、いまどうしてクマーラ王の所へいったのか」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

といって、使いをクマーラ王の許へと送り、急いで支那僧を送り返せよと申し送ったのでした。
ところが、クマーラ王は三蔵法師を敬重し、使者に向かって、

「私の頭はさしあげることができても、法師はすぐにそちらへ行かせるわけにはゆきません」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

といったのでした。

その使いが、帰ってそのことを報告したので、ハルシャヴァルダナ王は烈火のごとく怒り、侍臣(じしん)に向かって、

「クマーラ王は我を軽んじたぞ。どうしてわずか一僧のためにそんな暴言(ぼうげん)を吐(は)くのか」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

といって、ハルシャヴァルダナ王は更に使いを送ってクマーラ王を責めたのであった。

「そなたは自分の頭をさしあげるといった。よろしい。ただちに使いをもたせてこちらへよこせ」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

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