二十四、「第一烽内にて」

王祥は火を焚いて三蔵法師の顔を見ると、
「これはわが河西地方の僧ではない。まことに京師(みやこ)より来た僧のようである」
といった。

そしてつぶさにやってきた理由を尋ねた。
玄奘が、
「校尉よ、貴方は涼州の人が、僧玄奘という者が婆羅門(ばらもん)国にむかい、法を求めようと欲しているというのを聞いていませんか」
というと、
「玄奘師はすでに東方に帰ったと聞いた。どうしてここまで来られたのですか」
と答えた。

そこで法師は彼を伴って、馬上にあった章疏「しょうそ」(天子への請願書)の名前を示すと、ようやく玄奘その人であると信じ、
「西方への路は遠く困難です。師は結局天竺に到達できないでしょう。また私としても師の出国を許せません。私は敦煌(とんこう)の者です。貴方を敦煌にお送りしたいと思います。敦煌には張?『日偏に交』(ちょうこう)法師という賢人をうやまい徳を尚(たっと)ぶ人がおります。師をみればかならず喜ぶでしょう。どうかそうしてください」
といった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

王祥がこのように語り終えるとそれに対して、三蔵法師は、つぎのようにとうとうと自身の生い立ちとどうして天竺へ行かなければならないかということを語りだして答えたのでした。

このページの先頭へ