三十八、「高昌王との最後の約束」

道場に入った王は、母、張太妃に対して三蔵法師とともに兄弟となることを約束し、次のように語ったのでした。
「師よ、どうか自由に求法の旅におもむいてください。ただ、帰還の日、どうかこの国に三年留まって、弟子(わたくし)の供養を受けてください。もしそのとき成仏(覚りをひらいて仏陀になること)していたら、願わくは弟子が波斯匿(はしのく)王や頻婆沙羅(ピンピサーラ)などのように、師のために外護の檀越となりましょう。そこでまげて、さらに一ヵ月ここに留まって、『仁王般若経(にんのうはんにゃぎょう)』を講義してください。その間に師のための服を作りましょう」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

三蔵法師はこの事全てを許したのでした。太妃も大いに喜び、
「どうか師と長く親戚となり、代々助け合うことをお願いします」
といったのでした。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

ここに至ってようやく三蔵法師は食事を取ったのでした。
その節子(せっし)の堅固なることは、このような有様なのでした。

その後、王は別に大テントを張り三蔵法師の講座を開いたのでした。
テントの収容人数は三百余人が座れるほどの大きさでした。
太妃以下、統師、大臣らがおのおの席を別にして講義を聞いたのでした。
いつも三蔵法師が講義に赴くと、王は自ら香炉を取り、自らいでて、三蔵法師をお迎えしたのでした。
まさに、法座に昇ろうとすると王は 低く跪(ひざまづ)いて踏み台となって、三蔵法師に背を踏ませたのでした。

そして、毎日、このようにして過ぎたのでした。

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