三十七、「高昌王との和解」

高昌王の懇願にもかかわらず三蔵法師は、
「玄奘が来たのは大法のためです。いまここで妨害されれば、ただ骨(肉体を指す)だけは王の所に留められるでしょう。しかし、精神までは必ずしも貴方の自由になりません」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉
と答え、三蔵法師は遂には嗚咽して何も言えなくなってしまったのでした。
しかし、王も三蔵法師の意向を頑として許さず、さらに供養を増し、毎日食事の時は王自らが食膳をささげたのでした。

このようにして三蔵法師は高昌に引き留められ、初志とは違う事となってしまったのでした。
そこで、三蔵法師は食事をする事をやめてしまい、断食でその三蔵法師の心を王に感じさせようとしたのでした。

こうして端坐したまま三日間、三蔵法師はあらゆる水奬(すいしょう)を取らなかったのでした。

四日目になって王は三蔵法師の気息がようやく疲れてきたのを知り、そして、深く恥じ入り頭は地に付け、
「師よ、どうか自由に西行してください。どうか早く食事をしてください」
といった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

しかし、三蔵法師はそのことが方等なのかどうかと疑念を抱き、日を指していってほしいと請うたのでした。

そこで、王は、
「もしそうであるならば、どうかいっしょに仏に対して因縁を結びましょう」
といい、遂に道場に入って礼拝したのであった。

このページの先頭へ