二十、「弘達との会話、そして西域への出発」

何弘達が呪文を誦(とな)えて占うと当たることが多かったのです。

三蔵法師が天竺行を占わせてみたところ、弘達は、
「師は行くことができるでしょう。行くときの姿は、漆塗りの鞍橋(くらはし)の前に鉄をつけた一匹のやせた赤い老馬に乗っていくだろう。」
といった。
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

実際に三蔵法師がその馬に乗ってみると、まさしく痩せた赤馬で、鞍は鉄をつけた漆鞍(うるしぐら)であったのでした。
三蔵法師は心中当たったと思い、すぐさま馬を交換したのでした。
胡翁(こおう)は大変に喜んで敬礼をして三蔵法師と別れたのでした。

そこで旅支度をして、夜になってから胡人といっしょに出立しようと考えたのでした。
真夜中あたりに河に行き着き、はるかには玉門関が望めるのでした。
そこは関の上流の十里ばかりのところで、両岸の広さは一丈ほどあり、傍(かたわ)らには胡桐樹(ことうじゅ)の茂みがあるばかりだったのです。
胡人は木を切って橋を作り、その上には草を敷いて砂を埋め、馬を追って河を渡ったのでした。
三蔵法師も橋を渡り終えると喜んで、そこで馬を解いて一休みしたのでした。
そして、三蔵法師は胡人(そどく)と五十歩余り隔てたところで褥(しとね)をおろして眠ったのでした。

このページの先頭へ