十、「ハルシャヴァルダナ王との会見」 一

こうして夜の八時ごろになると、果たせる哉、ハルシャヴァルダナ大王がやって来たのでした。見張りのものがやって来て、

「ガンガー河に数千の炬燭(あかり)がみえ、歩鼓(たいこ)の声が響いて参ります」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

と報告したのでした。

クマーラ王は、

「これこそハルシャヴァルダナ王が来られたのである」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

といって、命令をして灯りを掲げさせて、クマーラ王自ら諸臣と遠くでハルシャヴァルダナ王を迎えたのでした。
ハルシャヴァルダナ王が歩くときは、いつも金鼓(きんこ)数百を率いて、一歩きするごとに一撃するので、これを節歩鼓(せっぽこ)と呼んでいるのでした。

この慣わしは、ハルシャヴァルダナ王にのみ許されたもので、他の王が同じような振る舞いをする事は許されていなかったのでした。

まもなくハルシャヴァルダナ大王は行宮(あんぐう)につき、三蔵法師の足に頂礼(ちょうらい)し、そして、散華(さんげ)して礼拝したのであった。

そして、様々な言葉で、三蔵法師を讃嘆(さんだん)し、

「弟子(わたくし)はさきに法師に来ていただきたいといったのに、どうしておいでくださらなかったのですか」
〈『玄奘三蔵』(講談社)からの引用〉

といったのでした。

このページの先頭へ